ちわきにくおどる

そんな気持ちにさせてくれ

ブログの説明

このブログは舞台を観に行った個人の感想が中心のブログです。

たまに自分語りもあります。

 

たまに「オートフィクション」という題の記事がありますが、ちょっと悲しかったこととか嬉しかったこと、落ち込んだことを消化させるために9割方嘘でSSにしています。本当のことは悲しかった、嬉しかったという感情だけなので信じないでください。

 

2018年現在、推しとしている俳優は2.5人います。

観に行っている舞台が偏っていますし名前も出しているので読めばわかると思います。なぜ.5なのかというと双子の片方が本命ですが二人で売れてほしいので可能な限り別々に仕事をしていても観に行くからです。

 

無理をしない、赤字を出さない、を目標にしているので推しとは言いつつもゆるいです。

 

つたない文章ですが、観に行った舞台の良さが伝われば嬉しいです。

【SS】ファンだなんて絶対に言えない

 

 

○○○○○○くんへ

舞台「・・・・・・」おつかれさまでした!!

いつも手紙読んでくれてありがとう。--------- です!!

大千秋楽の演技が一番すごくて迫力あって、とっっってもかっこよかった!いつもとは違った雰囲気の役だったから、全然違う雰囲気の○○くんが見られて新鮮だった!

クライマックスのシーンも最高だったけど、やっぱりわたしは中盤の△△のために無理をしてしまう▲▲▲の苦悩を繊細に表現する○○くんが一番好きだし、一番お気に入りのシーンでした!あの時の○○くんは今までにない顔をしていて、演技の幅がこの舞台でまた広がったんだなぁって思いました。

あの「~~~~」ってセリフを言う時の迫力、すごかったです…!セリフ自体もすごい言葉だけど、それに負けないくらい○○くんの全身から伝わる熱気がすごくて毎回、泣いちゃった。泣くようなシーンじゃないから、わたしだけ泣いててちょっと恥ずかしかったよ。笑

ツイッターでは楽しく稽古をしているっていつも書いていたけど、共演者のみんなのツイートや舞台の公式ツイッターでは○○くんが一番座組の中でがんばっているって書かれていて、努力してることを絶対に見せないけど周りのみんなからそのことが伝わってくるのが○○くんらしいな、って感じました!

 今回の舞台でまた一歩、演技の幅が広がって新しい一面も見せてくれて、どんどん成長していく○○くんはいつもすごいなぁ、って思います!

ファンのみんなやお客さんたちを楽しませるために、最高の舞台を届けるために、ひたすら努力する姿がとってもかっこいいし、そんな○○くんの姿からいっっっつもたくさんの元気をもらってます…!

仕事帰りで疲れていても、○○くんの演技を見ると元気になるし、仕事も○○くんの舞台があるから早く帰るためにがんばろう!って思ってパワーをもらってます!!

どんどん成長していく姿を見ているとわたしも、こんなに○○くんががんばってるんだから、わたしももっと仕事ができるようにがんばらなくちゃ!って思って、○○くんに負けないよう勝手に張り合っちゃっています。笑

○○くんのおかげで毎日がとっても楽しいよ!!!○○くんがいるからがんばれるし、○○くんからたくさんの元気とパワーをもらってます!!!いつもありがとう!

次の「□■□■□」も、とーーーーっても楽しみにしてるね!HPに上がっていた○○くんの演じる▽▽▽▽の写真がとってもかっこよかったから今からワクワクしてます!

 まだまだ暑い日が続くから体調に気をつけてください♡ 

またね!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無理。いや無理だって。もうがんばれない。またケアレスミスしたし、その報告だけで午前中使っちゃったし、それで午後の作業全部遅れて、またデスクでコンビニ弁当食べながらメール返信して昼休み返上したけど、明日納期のものがまだ半分も終わってないし、しかもさっきその仕事にもミスがあるのに気付いて半分以上やり直してる途中。

これ絶対終わんない。終わった。逆に終わった。無理。

しかもこの間違い前々回にしたし、前回はミスしたから注意しようって集中できたけど、一回ミスなくできたからすっかり忘れてた。最悪。バカ。本当バカ。

で、またミスしたから自分がミスした作業にメモして覚えようと思ってメモ帳開いたら二回も同じこと書いてあった。ほんとやべー。

なんでこんな同じことまちがえんの。ありえない。

上司にも言われたけど。

こんな使えない人間がファンなんて○○くんの面汚しだし、こんなクソ人間がファンやっててごめん。本当は○○くんみたいにどんどん成長して立派は人間になりたいよ。こんなつまんねーミスでつまづく人間じゃなくて、バリバリ仕事できてバリバリ活躍したいよ。○○くんにとって誇らしい人間になりたいよ。こんなクズから推されてもどうしようもないよね。

無理。

生きててごめん。

下っ端のくせに簡単な仕事もできなくてごめんなさい。活躍どころかみんなの足ひっぱってごめんなさい。クズでごめんなさい。

あー、なんでこんな。…ねぇ、なんでこんなに駄目なんだろ。

魂のグレードが違うのは百も承知だけど、せめて、せめてもう少しマシな人間になりたいよ。最低限、クソみたいなミスをしない社会人になりたい。全然成長できない。○○くんはデビューからあんなに成長して色々できるようになったのに、わたしはなんだ!?やることなすこと何も成果を出せていない。成長も見えない。反省してるのに次に活かせない。そして同じミスをする。努力するって言ってんのは口だけ。クズじゃん。

生きる価値ない。本当こんなやつがファンやっててごめん。

全然がんばれない。元気もらってるのは本当だけど。

いや本当はがんばりたい。でも全然ダメなんだよね。手紙ではあんなに大口叩いているくせに現実はコレですよ。クズ。

ごめんなさい。

本当に無理。

 

 

 

 

 

 

2019年7月まとめ

テニミュ3rdシーズン全公演を観に行くことを決めた時に、3rdが終わる頃には結婚できてたらいいな、と思っていたのですが恋人も出来ずに完走することになりそうです。

関東大会辺りが一番婚活がんばっていて月1~5名の男性と出会っていた時もありました。努力としては甘いですが、なんかそこまでして結婚したいのかわからなくなり今はなにもしてません。

3rdシーズンが終わる時にまたこの話するかもしれません。

 

 

 

ミュージカル テニスの王子様 全国大会 青学vs立海 前編

東京公演

 

2ndのだいたい4時間公演となっていた全立が再び前・後に分けられて3rdの寿命が延びました。そして2時間半公演なので体力も安心。

 

わたしがテニミュって、テニプリっていいなと強く感じるのが全立のS3です。

本公演で好きなキャラ ベスト5は不二先輩・白石・財前・仁王・赤也なのですがキャラの好き嫌いは関係なしに全立S3は名試合だと思います。

手塚も真田もさぁ~強い上に己の信念を負けないしテニスにかけている思いがデカいし自分のプレイスタイルがしっかりしていて目指すものも明確化しているし、どちらも己(手塚は腕、真田は真っ向勝負)を捨ててまで自分のチームを勝たせたいと思っているからどちらも勝ってほしいしどちらが勝ってもおかしくないからすげーいい試合なんですよね。

後半の零式サーブが決まってからの「向こうに入らんかー!!!」までの緊迫感といったら何度観ても昂ります。全立はこの試合が一番気持ちが入る。テニミュ見たな!って思います。

特出して役者のここがすごい!という点はまだみつけられていないけどこの名試合をしっかり演じきっているので十分ではないでしょうか。+αがあると思い入れがより一層強まるけど、それは人それぞれで誰かはもう+αをみつけているのだと思います。

 

すごいもの見せられているな、と思ったのが前田くんの「赤いデビル」です。

これ見るために増やしてもいいと思えるくらい素晴らしい。怖いのが第一ではあるけど彼のデビル赤也は暴力性だけではなくて冷酷さが垣間見えて怖さの種類が少し違う気がしました。演技として歌う表現力では一番長けていると思います。マジで上手い。

乾が倒れてしまった瞬間の中島くんの海堂の慟哭もすごくいい。先輩後輩ペアで対比がとれているのが余計にこの試合の勝敗の辛さを強めていてよい。

 

一幕はあっという間に終わってしまい、二勝したのに空気が重いままの立海が重々しい「三連覇に死角なし」を歌い、幕が降りるので明るくはないけど休憩に入った瞬間、テニミュ!楽しい!!!とはしゃぎたくなるおもしろさでした。

一幕で満足してしまう…。

 

二幕の日替わりはなぜか二種あって、間延びする印象でどちらかに絞って出るキャストを変えればいいのにと思ったけど前後に分けたから時間もあるし試合のないキャストもいるのでその人たちのファンを思ってのことかもしれません。ゆーさくの去年の三年生好きになってきたし…。

じゃあ、軽井沢の修行シーンをもう少しいれて記憶喪失になるくだりいれてくださいよ。原作未読で初めて観た人は突然記憶喪失になって帰ってきたリョーマにびっくりだよ。

 

S2はクローズドアイを残して振りもそのままにするなら、間奏で仁王と不二が対峙する振りでオフバランスとってよ!!!あのオフバランスなくすくらいなら振りアップデートして全部変えてよ!!!

なんやかんやで凱旋では受け入れてるとは思います。

 

 D1はブン太がかっこよくなっていて、時間差地獄の最後のポーズが揺らぐことなく片脚で止まっていて一コマの絵になっていてよかったです。

これは完全にわたしの都合なんですが、思っていたより青7黄金ペアだったいけまりに想い入れがあったみたいで、いけまりの眩しさが感じ取れなくて比べてしまって試合全体があっさり終わった印象でした。あんだけ長いこと黄金がこだわってきた全国No.1ダブルスの瞬間なのに。

なんやかんやで10代目の黄金も好きになれたらいいなと思います。

 

一幕の出来が良すぎたのか、二幕の試合が自分と合わなかったのか驚くほど一幕二幕で自分のテンションが違っていました。

でも二幕の中にもいいシーンはあって、思い出せ越前の導入前に悲しそうにしている桃ちゃん先輩は見ている側もつらくなるいい表情をしてますよね。

最後を「うちらのハートはパーカッション」で締めたのが驚きでしたが、初めて観た日は2ndの四天目当てに通い詰めた夏を思い出して懐かしさに涙が出ました。1stからの曲ですが自分にとっては2nd全立の二幕最初の曲として刷り込まれているみたいです。間奏の廣野くんのバク宙がワイヤーで釣っているのかと思うほどきれいな弧を描いていました。

 

うっかりネタバレ踏んでGMKKが復活したと聞いた(見た)時は複雑でしたが、実際に観て感じだのは懐かしさだけで意外と受け入れられました。きしむテニスシューズの音を忘れたことはないよ。

あとドスドスしている真田。

でもふわふわもいい曲だから3rdのカテコ曲も大切にしてほしいな、と思います。

 

東京公演ですでに天衣無縫(テニミュって楽しいじゃん!)になりかけているので凱旋が楽しみだし、後編も楽しみです。

 

 

 

 

【SS】無感情

 

 

 

 

あーーーーー。まずったな。こりゃ。どうしよう。

 

 

とは思うものの、どうしようもないし、どうにかしようとも思わない。

むしろ隣でバツが悪そうにしているおじさんの方が内心焦っているだろう。さっきまでピタリと体をくっつけるようにして歩いていたのに、姉に声を掛けられた瞬間すっと人ひとり分くらいの距離を空けた。

さっきは自分から駅まで行こう、と言ってきたのに、それじゃここで。と青に変わった反対方向の横断歩道に向かって歩き出した。

「またね~」と言いながら手を振ると姉の顔を見て、へこへこして去っていった。

 

姉はあきれた顔をして、近づいてくるわたしを見ている。何してたの?と聞くとこっちのセリフだよ、とだけ言い、それ以上何も聞かなかった。

 

「あんたには何言っても無駄だから注意しないし、お父さんにもお母さんにも言わないけど、かばいもしないからね。聞かれたらあんたが何してるのかも隠さないし、自分が知ってることは全部言うから」

 

「わかってるよ」

 

一緒に帰ろうとは、言わないがなんとなくこのままの二人とも家に帰る雰囲気なので無言で駅へ向かう。

 

社会人になり上京した姉にくっつく形でわたしも進学と同時に上京し二人で住んでいる。

 

「一緒に帰るなんて久しぶりだね」

 

繁忙期以外は定時で寄り道することなく規則正しく帰宅する姉と、不規則な生活を送るわたしの帰宅時間が同じになるのは今年に入って二回しかない。ふらふら遊び歩いている方が言えるセリフではない。姉は無言でわたしを見て、目線を前に戻した。

 

帰りの電車では二人とも無言だった。わたしはSNSのチェックと返信し、姉もたぶん誰かに返信したりしていたと思う。

最寄駅から家までも無言で歩く。わたしはスマホを見ながら姉についていった。

 

「ただいまー」

「……」

 

久しぶりに一緒に帰ったというのに一切会話のないまま家に到着した。

廊下からダイニングへと移動しながら姉がぱちぱちぱちと電気をつけていく。

明るくなり、家の中にある物が突然姿を現したかのように見えた。毎日見ているはずなのに見慣れない光景に感じる。

スマホが手の中で短く震えた。通知を開くとさっきのおじさんから不安そうなラインが8cmくらいの長文できていた。

 

【さっきの人?大丈夫ですよ】【そんなに仲良くないし】【あたしが何していようと興味ない子なんで誰にも言いませんよ】【今度、続き行きましょうね!】

 

 まだ少し不安そうなおじさんのラインがぽこぽこと届く。大丈夫だと言葉を適当に変えて返していく。

 

「夕ご飯、いる?」

 

部屋の真ん中で突っ立ったまま返信をしているとキッチンから姉の声がした。

 

「平気。もう食べた」

 

わたしの返事に姉からの反応はなく、部屋に静寂が流れる。

おじさんもようやく落ち着いてきたのか、バイバイのスタンプを押してやりとりを終えた。

 

部屋着兼パジャマに着替えてベットでごろごろしながら、複数のSNSをチェックしていく。リプといいねを終えた後、アプリにきているメッセージに返信をしてバイト先のシフトを確認する。

「20:27」。スマホの上部に掲示されている時刻をふと見る。こんなに早く家にいるのはいつぶりだろう。今月初かもしれない。早い時間にベットで横になっていることに安堵を覚えると急激に眠くなってきた。うつらうつらと目蓋を開けては閉じて開けては閉じてをゆっくりと繰り返す。あーーーーーだめだ。これは寝落ちする。意識のあるうちに明日のアラームをセットしようと再びスマホを起動しようとした。

と同時に姉からのラインが入った。

 

【風呂空いたから。最後、換気してから出て】

 

そうだ。風呂。せめて化粧だけでも落とさなきゃ。と体を起こす。肌荒れを起こしやす肌質のため、どんなに疲れていても化粧を落とさず寝てしまうことだけはしない。部屋は足の踏み場もないほど荒れているが見た目はなんとか取り繕っている。

 

ダイニングを通った廊下の先に風呂場がある。途中のダイニングにあるソファに座って姉はスマホをいじっていた。おそらくわたしへのラインもそこから送ったのだろう。

お互い視線も合わせない。

 

わたしと姉は仲が悪いわけではない。かといって良いわけでもない。

姉妹そろって他人との関わりが希薄なだけで人嫌いというわけではない。少ないけど友達もいる。姉には。

わたしにはいない。というか、いなくなった。

バイトを優先して、副業もするようになったらますますお金を稼ぐことに忙しくなり、友達よりも優先して、あげく学校にも最低限の時間しか行かなくなって、ごはんも断ることが多くなったら自然と友達らしき人はいなくなった。

とにかくわたしにはお金が必要で、稼いだお金は彼以外にはあまり使いたくなくて、その他を削っていった結果が今である。後悔は特にない。というか選択肢はなかった。

そして、今ではわたしと会話をしてくれる同性は姉しかいない。

湯船に浸かりながら天井を眺める。立ち上る湯気と一緒に自分から離れていった人たちの顔が浮かんでは消えた。

 

 

 

 

 

 

またかーーーーーー。今度はさすがに怒られるな。こりゃ。どーしよ。

 

とは思うもののどうもしない。

前とは別の今回のおじさんは、悪びれるそぶりもなく腰に手を回したまま「お友達?」と訊いてくる。姉と言うと詮索されそうなのでいとこです~と誤魔化した。

 このおっさんはずうずうしいところがあるし、自身の行いに後ろめたさを感じていないので余計なことを言う前に一刻も早く姉と引き離したかった。どのようにこの場から去ろうか考えていたところ「忙しそうだし、じゃ」と姉の方から離れて行った。内心ほっとした。自分が姉の身を案じているのにも驚いた。

 

その後、いとこについて少し尋ねられたものの適当に嘘をついてやりすごし無事オプション料金をもらい、今日のおじさんと別れた。

なんだかんだで長引き、家に着いたのは0時前になった。

 

ドアを開けると廊下の電気がついていてダイニングも電気がついている。食卓の椅子に姉が座っていた。もう風呂は済ませたようだがあきらかにわたしの帰りを待っていた。

 

無言で部屋のドアを開け、背後から姉の「おかえり」という声を聴きながら閉める。部屋着に着替え、風呂に入るために再びダイニングを通って廊下の先の風呂場へ向かおうとした。

 

「あんたさ」

 

部屋からでてきたわたしに姉は間髪入れず声をかける。無視しようとしたがなぜか足が止まった。姉と向き合うようにして立ち止まる。

 

「好きでもないおっさんに時間使ってむなしくならないの」

 

わたしに対して無関心だと思っていた姉が気にかけていてくれるが意外だったので少し嬉しくなったが、説教かよ、という苛立ちが上回った。

 

「別に。短時間でお金稼げるし」

 

納得していない顔でふうん、と姉は小声でつぶやいた。

 

「好きな男がいるのに好きでもない男にカラダ触られてよく平気だね」

 

姉の言葉を聞いて、あぁこれが倫理観なのかと感じた。

わたしにとっては稼ぐ手段であり、彼らを客としては見るが人として見たことはなかった。何を言われても何をされても彼らの存在は身体からすり抜けていった。

わたしの中で存在として留まれるのは彼しかいなかった。自分から会いに行かなければ会えない、自分から料金を払わなければしゃべれもしない、「好き」と伝えても「ありがとう」しか返してくれない、プレゼントをあげ続けても返ってくることのない関係でもわたしにとっては大事な大事な好きで好きでどうしようもなくなる存在だ。

 

「自分の感情なんていくらでもごまかせるし、好きな人以外の感情なんてなんの問題もないから」

 

「好きな人のためなら、ね」

 

言葉とは裏腹に姉の下がった眉が理解に苦しむ、と言っているようだった。

 

そう、好きな人のためにできることはなんだってしたいし、可能なことならなんだってやる。彼のためにしたいことを最優先にしたいから自分の感情を配慮してる時間はない。むしろ彼が好きという感情以外は今のわたしにとってはいらないものだ。

彼が好き、それ以外なにもいらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女革命ウテナ・21話 アンシ―の台詞より。

2019年6月まとめ

 彼らの仕事によって生かされているな、と感じた6月でした。

ここ最近ずっとそう。

 

 

 

COCOON 月の翳り

 

先月、感想書いちゃったけどポエム的なものを。

「泣き虫アンジェリコはもういない」。この台詞は冒頭とラストシーンで二度でてくるのですが、まったく違う意味に捉えられるのでゾクゾクして最高でした。

初めて観た時は、反芻されたこの言葉によって冒頭の仲の良い二人の会話を思い出しながらも道が違えた瞬間を目にしているので思わず息を飲み、サイコーの演出だ…と思っていました。

何度か観ると、最初のまともなアンジェリコから執着による絶望で狂ってしまった過程を繰り返しなぞることにより、どんどんアンジェリコへの愛着が深まり、後半は「泣き虫アンジェリコはもういない」という言葉に催眠でもかけられているかのごとく積を切ったように泣いていました。

たぶん、アンジェリコはこの時からずっと泣き続けていたんだろうな。

肉体的にも精神的にも激しく消耗しながらも、全力を出し続けてくれてありがとうございました。

やっぱり安西くんの演技が好きだーーー!!!

 

 

 

 

 BOYS☆TALK

 

男子会を覗き観するコンセプトのあてがきほぼアドリブ舞台。

二人ともトークおもしろいから大丈夫でしょ~、と大船に乗った気持ちで行ったらゲストのいせだいが一番おもしろかったです。ゲストなので後半からの登場でしたがどのコーナーでも一笑いかっさらっていきました。笑いすぎて内容を忘れました。

フリートーク大喜利は得意不得意あるけど、全員がんばっていて稽古時間が短い中で距離を縮めてアドリブで助け合う姿が見えた気がします。芸人じゃなくて役者だから、自分が一番ウケようとするより舞台全体をおもしろくする方に力を注ぐのだろうか。

勇さんが大喜利でボケた瞬間に飲み物飲んでしまい部屋の端でこらえる要くんをまじまじと見ていました。90分の舞台で一缶開けていくので水分摂取量多いなと思いました。

 

 

 

 

舞台クローズZERO 再演

 

映画を見た時に、不良高校のてっぺんとっても一文にもならないし全国模試1位を目指したほうが絶対いいのにな~とか思っていました。自分がファッション以外のヤンキー文化になじめないだけですが。

 

それでも、最終決戦でボロボロになりながら戦う源治と多摩雄の姿は喧嘩の美学を感じさせる演出で胸に響きました。エモーショナルを狙いました!と言わんばかりの演出でわかりやすすぎたけど、作品の雰囲気からいったらこれくらい大袈裟な方が映えるからいいのかもしれません。素人だからわからないけど。

 

主演の松本くんが最初にでてきた時にヤクザに飛び蹴りをくらわせるんですが、スタイルのよさと跳躍力が相まって惚れ惚れするシルエットでした。クリーンヒットの爽快感もある。かもしかのよう。

観る度に翔平くんの人を食えない演技が好きになっていくのですが、多摩雄もそんな雰囲気をもっている役なのでまたしょへさんの演技が好きになりましたね。

砂くんの高い演技力ときれいなお顔のファンなんですが、透明感のある顔から不釣り合いなドスのきいた声ですごまれるのいいな、と思っていました。最終決戦の殺陣で早歩きでまっすぐ進みながら指だけくいくいして挑発してるのが、すっごい癖(へき)にきて毎回、キタキタキタ!!!!!みたいなテンションになっていました。オープニングで咥え煙草したまま人の顔をぼこぼこ殴っているのがたまらん。

あと松島くんが合コンのシーンで、ワイヤーを動かしてブラなおす仕草がリアルで好きでした。たまにコップの淵についた口紅拭うのも好きだった。源治が自分を好きなこと前提で最後の捨て台詞をいう日替わりが毎回笑わしてくれました。ミキはいい女だよ。

 

二葉兄弟の三上兄弟ですが、初登場時はなんか人おちょくってくる態度でかくて上からライト当たると堀が深いから影ができて目元が見えなくなってイカつくなる三年生と見せておいて、次の多摩雄に喧嘩売りにきた場面では、あコイツらギャグ要因だ、としっかり思わせてくれて一気に芹沢軍団の愛されマスコットになるのが二葉っぽいなと感じました。

 最終決戦間近に、屋上で麻雀をやりながら芹沢軍団のこれからについて語りあうシーンでの三上兄弟の無邪気さは芹沢軍団もGPSと同じように惚れた男に(人間的にです)テッペンとらせたいという絆で結ばれている集団なんだと感じさせてくれるのに一役買っていたかと思います。犬みたいな二人はかわいかった。

 GPSと芹沢軍団の戦いが始まる合図として二人のせりふがあるのですが、卒業公演の双子に「最後の祭だ!」「派手にやろうぜ!」と言わせるのもエモかったですね。初演を観てないので初演も三上兄弟のせりふだったら見当違いですが。大千秋楽で「悔いの残らないよう」をつけくわえた勇くんは熱い男ですよね。

特典会時に、二人が上記のせりふを言うと卒業と重なってあ~~~てなるんですよね、と話したら二人とも、わかる、あ~~~てなるよね~、と返してくれて本人たちも気持ちを込めているようでした。語彙力ないオタクの会話をするな。

 

生理的に苦手だなと思うシーンもあったり、けがなく終わってよかったなと思う演出もあったり、休憩なしで長いんだから日替わりの時間はコンパクトにしろと思うこともありましたが、二人の卒業公演がクローズZEROでよかったです。

漢の友情と青春が題材の舞台が、番ボでがんばってきた二人と重なり、三上兄弟として見ながらも二葉兄弟として見える瞬間があって、でもキャストが役の範囲を超えることはなく舞台とキャストの背景を知っている・感じ取りたい人だけがわかるようなメタな部分を双子のファンとして楽しませてもらいました。

 あと前売りがすべてLINEチケットだったので手元に半券残らないことにしょんぼりしてたら、毎公演、裏にキャストがランダムで印刷されるダミーチケットを作ってくれて嬉しかったので、初めてアンケートでキャストではなく運営を褒めました。

 

 

 

以下、舞台の感想ではなく卒業に関する推し語りになります。

 

 

双子の卒業公演がクロゼロでよかったな、と思ったのは大千秋楽で演技の熱の入りようが大楽と比べても異様で全員がスピードも力も怪我をするギリギリまで攻めていて集大成として全力を出しているのが伝わってきて胸が熱くなったからです。

原作も映画も人気で有名なものだから舞台も同じくらい完成度の高いものにしたい、という思いもあっただろうし、再演だから前回を超えたいという思いもあって、あそこまでの熱量になったと思いますが、なにせ双子のオタクなもんで、勝手に二人を送り出す最高の場をみんなが作り出そうとしてくれている!と思い込んで勝手にうれしくなって勝手に盛り上がって、最後の舞台がクロゼロでよかったと勝手に感謝している次第です。

そう思ってしまった最大の理由は、最後の一騎打ちと決着がついた場面で、泣いている翔平くんを見てしまったからだと思います。芝居に熱が入り過ぎた結果の涙なのか、二人と共演できる最後の場を名残惜しんでの涙なのかはわかりませんが、普段飄々としている翔平くんの感情が溢れている場面を見てしまって、みんな(突然主語がでかくなる)双子と共演する最後のこの瞬間を今大切に思ってくれているんだ!と感じました。

例え勘違いでもそう思わせといてください。

大楽の熱の入りようは全キャストが凄まじくて、感情がこちら側に投げ込まれていくのを感じたので、舞台が完全に終わる前にいいもの見せてもらったお礼としてのスタオベがしたいなと考え始めていたのでトリプルカテコでできてよかったです。卒業だから、ではなく舞台の出来としてスタオベしたいと思わせてくれる卒業公演になって最高の見送りをできてうれしかったです。卒業公演がクロゼロでよかったな、その2です。

卒業だからスタオベしたいわけではないですが、やっぱりスタオベで卒業を見届けられたのはうれしいし、最後にいい景色を二人に見せられてよかったです。

 

番ボ自体は1年と少しの浅い歴なので卒業が発表された時は、まぁそういう時期だよなと普通に受け入れていたので、卒業公演が始まっても、番ボとしての集大成であり新たな門出を祝う場と思いながら通っていたので、挨拶とか聞いても「卒業おめでとー!」みたいなテンションだろうなと思っていたのですが、今回出演のなかった糸川くんと千綿くんがサプライズで来てくれたり、上述の翔平くんの姿や、太志くんの二人がいなくなるのは番ボにとって大変なこと、という言葉を聞いたり見たりしているうちに、双子が番ボの中でとても大きな存在でメンバーに大事にされていて、信頼されていることをひしひしと感じていたらいつの間にか泣いてました。

好きな人がたくさんの人に愛されてる素敵な空間でした。

 

今回は全公演で3ショがあったために常に特典会の最後は双子だったので、大楽の日はすごく長い時間まで劇場に残って双子のオタクでわいわいしていたのが卒業式後の教室みたいで、名残惜しみながら劇場を去る時に遠い記憶になっている卒業式の淡い切なさと新たな未来への淡い期待が混じる感傷的な気持ちを思い出しました。

上半期、毎月現場で会っていた、話したことはなくてもよく見知った双子のオタクたちともしばらく会うことはないんだな、と思うと寂しくなります。現場行けばとりあえず会えるフォロワーもできたのでしばらくみなさんに会えないのが寂しいです。

 刀で見かけたらよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

2019年上半期ベスト舞台を選ぶなら「COCOON 月の翳り」です。

そろそろ推しの関係ない舞台を観に行きたいところですが、なかなかお金と時間と気力の調整がむずかしいですね。

では下半期も楽しい現場でお会いしましょう。 

 

2019年5月まとめ

COCOON 月の翳り星ひとつ

サンシャイン劇場

 

 

わたしのTRUMPシリーズとの関係

「はじめての繭期」にて「TRUMP」「SPECTER」「グランギニョル」を鑑賞。「マリーゴールド」は日程が合わず見られませんでした。

いろいろおぼろげ。

シリーズ作品初出演の安西くんを観たくて初めて劇場までやってきました。

 

 

どうせここ見ている人は3人しかいないのでまだ大阪公演がありますがネタバレしていきます。

 

 

 

月の翳り

TRUMPの前にクランで起こったラファエロとアンジェリコのお話。

アンジェリコにピンとこなくて(おぼろげに見ているので誰が誰かわからなくなる時がある)、パンフを見てようやくTRUMPでめちゃくちゃ嫌なやつだったことを思い出したました。

でも、ああなってしまった要因にも納得できるし高貴故に高慢で愚かゆえに愛しい存在に思えました。でも最初から独りよがりだったよ、君は。アンジェリコ。公式と解釈違いだからって過激派アンチになってはいけない。

ドナテルロがディエゴにCOCOONを渡すシーンは虹色が乱反射しているような照明でいけないものだとわかりながらも美しさに惑わされて手を伸ばしてしまう彼の世界を見せているようでした。

月の印象はとにかく演出が耽美でした。照明もそうだし、光る棒の檻(言い方が稚拙すぎ)やラストでラファエロとアンジェリコの二人だけ深紅の衣装に着替えていたり。そして最後の泣き虫アンジェリコで大量のバラの花びらが落ちてくる演出に息が詰まりました。華やかだけれどアンジェリコの悲しみと絶望の質量が視覚化され、悲痛な光景でもありました。

 

 

星ひとつ

ウル中心のTRUMPのお話。

TRUMPシリーズは浅いけれど、それでもシリーズの他作品での場面や人物背景が登場人物のセリフひとつで脳内に広がるので末満さんは天才だなと思います。

クラウスの不気味さがどんどん増している気がして、生きたまま死んでいるような顔をするので怖かったです。永遠に生きる苦悩を知っているかのような、いやあれは不死の苦しみを知っている者の顔ですね。とにかくちゃん陣さんの顔がすげーーー怖くて、不快でした。カテコの時も怖くて、気になってチラ見してました。陣内さんは演技が上手い。

ストーリーはほぼTRUMPなんですがグランギニョルを踏まえたうえでのTRUMPなのでダリ卿の目線が入ることでウルとラファエロの悲劇性が増し増しになりました。月も見てるとなおラファエロのシーンは悲しいですね。

 

今回、安西君がTRUMPシリーズに出演したことがめちゃくちゃうれしくて、何故かというとテニスとK以外で観ている人は少ないと思っているので、オリジナル脚本でストレートの濃い演技を色んな人に見てもらいたい願望を持っていたからです。ちょこちょこ、るひまや男水や無双とかもありましたが、このシリーズって圧倒的に末満演出が好きな人が多いのでちょっと客層が違っているような気がして。初めて観たor数年振りに観た、という人に見て欲しい芝居がCOCOONにあって非常に嬉しかったです。

簡単に言うと発狂している演技の圧を感じてほしかったんです。

 月はエミールを殺しそうな勢いで怒り狂って殴る姿、星はソフィを怒りのままに殴りつけている姿は個人的に好きな安西君の芝居を見せ場にもってきてもらえて嬉しかったです。殴っている方に対して悲痛な哀れみを感じてしまうのは安西君の演技力の手腕だと思います。

安西君の演技は感情を一瞬で劇場にいる全員に剛速球でぶつけるようなところがとても好きです。それと命削っているところ。

 

以下ちょっとした悪口。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと、このシリーズたしかに脚本演出はすばらしいし、シリーズものとしての魅力がある台詞も多く、複雑な関係性も楽しいけどどこか好きになれないのは登場人物全員が少しずつ嫌いだからだと思いました。

 

 

2019年4月まとめ

 平成最後の日はこのブログを書いて一日が終わりそうです。

 

 

浪漫活劇譚「艶漢」第三夜

シアターサンモール

 

第一夜の時の劇場に戻ってきたため最初は続編があるとは思っていなかったことを思い出し、ちょっと感慨深くなりました。あれから主役のけいとくんは人気アプリゲームの舞台作品に出演し、第一夜はほとんど原作ファンばかりだった客席が俳優オタクらしき人が増えていて客層の変化もありました。

脚本・演出のほさかさんの巧妙な原作の別々のシーンを切り取りながらオリジナル要素も加え、原作に沿いつつも新しいストーリーを描く演出が今回も冴えわたっていて、帰宅後読み返して、答え合わせする楽しみ方もできました。

肌の露出が多く、お色気シーンもふんだんでしたが、この部分を担っている詩郎と安里役の二人に男性寄りな中性的魅力があり、耽美になるのがこの舞台のお楽しみのひとつでもあります。初回からやっている安里がお客さんにバナナを剝かせて、そのまま食べる謎のサービス演出が名物となっているようで今回もお馴染みの演出として登場しましたが、小劇場だから受け入れられている空気がよかったです。

 昔、友達に君が好きそうなキャラがいるよ、と紹介されたのが艶漢の安里で。ほんとにドンピシャで好みで。舞台化のメディアミックスが盛んになっているとは言え、これをやろう!と企画するところはないと思っていたので、初めて三上さんの安里を見た時の衝撃やたるやすごいものでしたが、今回も三上さんの安里ちゃんは安里ちゃんそのものでシルエットから仕草、表情のどれをとっても2時間半ずーーーっと安里ちゃんで。毎度毎度感謝の意を示さずにはいられませんでした。

今回はアクションシーンが多めで、しなやかに華々しく戦う安里がたくさん見られてよかったです。三上さんいつもありがとうございます。

ドリライ14ぶりに岩義人くんを見たのですが、外見も演技もすっかり青年になっていて時の流れを感じました。

 

なんだか感想ではなく思い出話になってしまいましたね。すみません。

 

 

 

 

 

 

 

舞台ではないですがツイパラのワンマンライブについて。

 

 

TWiN PARADOX ワンマンライブvol.6「SPRING」 新宿LOFT

 

まさか新宿LOFTでライブを見るイベントが人生であるとは思っていなかったです。

割とディープな音楽オタクでないと足を運ばないイメージ。ツイパラのおかげでキャパ200前後のライブハウスを着々と制覇している気がします。

 

バンド形式になってからは歌うことが少なくなった「恋の花」「Love Dynamite」から始まり、「これが俺たちの始まりの曲だ」からの大阪時代のバンド曲「inocent」の流れが二人の歩んできたバンド時代を感じました。流れは逆だけど。(大阪→上京後ツイパラ)

そのあとは「霞」「虹色の日々」「Inpulse rain」などなど1stシングルから最新の3rdシングルまで曲調を先行で組んだようなセトリでした。順番は忘れたので割愛させてください。

新曲は「モノクロのダンス」「ジェミニ(Gemini?)」の2曲。モノクロが勇さん作詞、ジェミニが二人の作詞。

モノクロが前奏と2番入り前で左右にモッシュのある曲でした。たぶんこれからも必ず曲前に説明してくれると思うので、モッシュしたい人はぜひライブに来てください。説明の時に勇くんが「最後に元の場所に戻ってスンッ…てして」のスンッ…の顔がおもしろかったです。真顔。歌謡曲っぽいメロディが今までの曲とはまた違ったノリの良さを出していて、モッシュもあり楽しかったです。

ジェミニは曲名聞いた瞬間に名曲の予感しかしなくて、ぶわわ~と体温が上がりました。双子座ですよ。なんかキラキラしていて、曲を聞きながら、この二人なら音楽で宇宙の彼方まで連れてっていってくれるんじゃないかと思いました。というか途中で脳内で3rd四天の「こいつを倒したい2018」(?) の宇宙のプロジェクションマッピングを背景に保管していました。

後半で要くんが叫んだ「お前ら、ぜってぇ離さねぇからな!」が最高にシビれました。

ついて行く気満々だけど、絶対離れたくないようにいつまでも最高にかっこいいままでいてね。(ポエム)

 

あとは今しかできないであろうギリギリ内輪感あるトークライブでミュ出演のお祝いをしつつビンゴ大会したり、出演バンドの5組中3組に双子がいる主催ライブに行ったりしました。

 

 

平成は楽しかったので、令和も楽しくしたいですね。 

【SS】ブルンヒルデ・コンプレックス

 

ʚ♡ɞまころʚ♡ɞ(ハンドルネーム)は自然と目を覚まし、ベッドにあるデジタル時計を見た。朝の5:20であった。

隣にいる男は未だ熟睡している。起きる気配もない。

そっとベッドから抜け出しカバンに入れていたスマホを手にし、再びベッドに戻る。

音のしないカメラアプリを起動し、男の寝顔を10枚ほど撮る。再び彼の隣に寝て髪を整えてツーショットをまた20枚ほど撮った。

SNSの通知が何件かきていたが急用はないのでカバンに戻した。

 

「ただの男なんだね」

 

抑揚なく呟いた短い言葉を彼女以外に聞いている者はいない。

寝ている男に寄り添うと、起こさないよう彼の髪の表面を撫でる。細い髪がぱらぱらと流れる。2回ブリーチされ、ほぼ白の淡い金髪は薄暗い部屋の中でわずかに発光しているようだった。そろそろ茶髪にしないかな、とまころは思った。

 

男の寝顔を見ながら昨晩のことを思い返す。

 

あれだけ待ち望んでいたはずのキスがそれほど良くなかったことに軽くショックを受けた。ホテルに入るまでつないでいた手は男の人にしては柔らかく、ほどよく暖かくて、そちらの方が気持ちが良かった。

手で触れられた方が心地よいのかも、と思ったが身体のあちこちを触られても快楽は薄かった。他の男の人と比べたら多幸感はあったものの、快楽の薄さに気持ちが冷めていくのがわかった。

期待値を上げ過ぎていたのだ。

中の下の容姿だからフェラしないといけないだろうな、と思いながらベッドに入ったがその必要はないほど彼は興奮していた。結局、口淫をしたけれど勃たせるためではなかったので、覚悟していたより短時間で終わった。

 

肌がぶつかる音、体液が混じりあう音、ベッドのスプリングがきしむ音、細かいテンポを刻む呼吸音、小さいうめき声、リップ音。

耳にへばりつくようで不快だった。全知全能の神様のような存在であるはずの彼が人間の男であることを何度も何度も繰り返し、しつこく教えられているようで。彼が人間の男で、だいたいの女相手なら性欲を抱ける人物であることを目の前に突きつけられているようで。彼が絶対無敵で宇宙一顔がいい見てるだけで幸せでスーパーすこすこな超絶かっこいい輝く眩しい大しゅき推しぴではなく、ただの人間のオスであることを証明しているようで。

ノーメイクで無防備に寝ている顔を至近距離で眺めていると昨夜の性交中の音が再び脳内で再生される。

 何日で忘れられるだろうか。なるべく早く忘れてしまいたいけれど顔を見る度にしばらくは昨夜のことを思い出すだろう。

 

あれほど望んでいたものだったのに、実際に行為におよぶと他の男性と同じく快楽だけを求める非生産的な繁殖行為が滑稽なお遊びにしか見えず、夢心地のような享楽もロマンティックな悦楽もなかった。

こんなに好きになる人は彼以外いないと思っていた相手でさえ、性欲を持っているという事実だけで自身の感情が冷めるとは思っていなかった。こんなに大好きな人とするのだから、ものすごく幸せなセックスができると信じていた。

 

でも実際は他の男と同じような性欲を持っている事実を知っただけだった。

 

結局、まころが魅力を感じるのは一線を隔てたステージの上にいる人間性を感じないアイドルとしての彼だけだったのだ。

 

世間はセックスを恋人同士の営み、愛情表現として讃えているので好きな人とすれば素晴らしき甘美な世界が待っていると思っていた。告白されたからなんとなく付き合ってなんとなく彼氏だからする、またはお金や手段のためにするから快くないのだろうと、いつも天井を眺めながら彼女は思っていた。

だから、キューピットに矢で射貫かれたような衝撃的な恋に落ちた彼なら、毎日のように見ても出会った時と同じくらいときめく彼なら、どんなに手紙を書いてもリプを送ってもプレゼントをあげても好きな気持ちが溢れて止まらない彼なら、来てと言われたらいつでもどこでも飛んで会いに行かずにはいられない彼なら、気持ちよいのだろうと思っていた。

 

だがこんなにも時間とお金と労力をかけて手に入れたものは、ただただ彼女の人間としての感受性の欠陥を知らしめるだけであった。

 

寝ている彼の肩に顔を乗せる。少し開いた口から呼吸音を聞こえてくる。首元に顔を寄せる恰好になったためか男性特有の体臭がした。嗅ぎなれた香水ではない臭いで、プライベートだから嗅げた臭いではあるが全く嬉しくなかった。

自分も四六時中香水の匂いをまとうことはできないから、体臭があることなど理解している。こうして彼の傍にいればいるほど、男性としての性を感じ取ってしまいどんどん彼がただの男に成り下がっていく。

 

軽く咳払いをした彼の目蓋が動いた。彼の目が開くと同時にまころは寝たふりをする。隣でごそごそと体の向きを変える振動が伝わってくる。赤黒い暗闇の中で自分と彼が向き合っている姿をまころは思い描く。腰に少しだけ重さが加わった。布団の上から彼が腰を抱いている。腕の重さも温度も不快が張り付いているとしか感じず、目蓋の奥でまころは泣いた。