ちわきにくおどる

そんな気持ちにさせてくれ

明治座の変 麒麟にの・る感想

現場納めがこの舞台でよかったです。こんなに楽しく通うのが久しぶりで3日間ハッピーでした。カウントダウン公演はもう今年はこれ以上笑うことはないんじゃないかと思うほど笑いました。るひまの二部は毎年どこかでゲラるけど今年ほど腹がよじれるほど笑ったのは初めて。頭おかしかったですね。

 

上演が終ったのでネタバレしていきます。

 

 

  

 

 

 

 

一部感想

 

「衝撃のラスト」「驚きの展開」など宣伝で使い古されたフレーズだったのでる変の「トンデモ設定」という言葉も素通りし(竹中半兵衛がタイムスリップしたことだと思ってました)、W座長で平野良明智光秀、安西慎太郎が織田信長。というあらすじをそのまま信じて平野さんの明智がどのように描かれるのか想像がつかないまま劇場に入りました。安西君の信長はなんとなく想像できました。

 

 

しかし平野=明智、安西=信長という配役は明智密偵として織田家へ仕えることになる序盤で覆されます。

織田信長として尾張を治めているのは実は信長に殺されたとされる弟・信行で織田家を逃げ出した信長は明智光秀の影武者として明智家に仕えており、本当の光秀は家臣の左馬之助、という種明かし。

本能寺の変といえば最も有名な歴史上の事件と言っても過言ではなく、創作物で何度も取り上げられるテーマ(刀剣乱舞も舞台と映画の両方でやりましたし)でそのおおすじは誰もが知っている・結末を知っているからこそ、過程をどう描くかで観客を驚かせることができたのだと思います。

最初に観た時にどうオチをつけるのか楽しみで、観劇しながら期待と興奮で胸が躍るのは久しぶりでした。

 

信長と光秀もですが、最初に出てくる紙芝居のおっちゃんの正体が後半でわかった瞬間は次回観る時に冒頭から泣いてしまうのがわかって、二回目以降に楽しめるポイントが多いのもよかったです。

おっちゃんを演じた粟根さんの演技も素晴らしく、信行だとわかってから彼の片鱗を見せ始めるので序盤ではまったくわからなくて、こういう演じ分けもあるのかと素人は大感心しました。おっちゃんは少し寂しそうに語るのですが、麒麟に星を見ようと誘う口調は、今は幸せな人生を送れているように捉えることができてハッピーエンドではないけれど悲しいまま終わらなかったのだと思います。

 

信長と信行だけでなく、対になる存在がいくつかあり、それもわかりやすく対立しているのでいろいろな視点から見られるのも何度見ても楽しめた点のひとつかと思います。

信長と光秀、信長と正親町天皇(どうでもいいけどおうぎまちてんのうって一発変換できない)、信行の家臣と秀吉の家臣、信長ときりん、信行と長政。

あと一方通行な思いもいくつかあって見ている側としては楽しかったです。

信長←帰蝶←信行、荒木村重 とか 長政→←お市柴田勝家 とか。

 

今回ヒロインが、お市帰蝶、熙子、きりんとたくさんいてそれぞれ魅力的だったのも楽しかったです。

お市は元宝塚の鳳稀かなめさんが演じていたので正統派ヒロインでしたが、るひま専属ヒロイン・かっち演じる熙子も光秀と仲睦まじくてかわいかったし、加藤啓さんのきりんもいつもの突拍子もない啓さんなんですがかわいかったです。外見もまんま啓さんなのにかわいい。そして今年やっと気付いたのですがるひまさんは女芸人をキャスティングしながらも彼女らを芸人としてだけではなくきちんとヒロインとしての見せ場を描いているのがすごいなぁと思いました。帰蝶を関西のおばちゃんのビジュアルにしておいてネタにせず、ちゃんと恋愛の見せ場を持ってきてもそれなりに説得力あるのがすごい。しかも鬼奴さんらしい日替わりネタも披露したうえで。

 

演出で最も印象的だったのは長政亡き後、お市が長政様の声がしたと振り返るシーンでした。誰もいない花道にライトが当たっているだけでしたが、あのライトはたっきーさんを照らしていたと思います。

感動ポルノになるかもしれないし、この手の話題はるひまでしかたっきーを観たことがない人があまり言えることではないのですが、あの演出はたっきーも舞台に立ってほしいと思い、ごく自然に生まれたるひまと原田さんの演出だと感じました。感動させようとは微塵も思わずただ一緒に舞台を作り上げる一員として尊重していて、年一でしか演技を観てないけれど寂しい気持ちとたっきーのむちゃくちゃな言動と笑顔とたまにびっくりするほどハンサムに見える立ち姿を思い出して、回を追うごとに涙の量が増えていきました。

今年のるひまは最高に面白くて楽しい舞台でしたよ。たっきー。

 

観終わったあとに登場人物のキャッチコピーの意味がわかる相関図にある光秀(平野)の「オレは、俺。」が、織田信長の名を捨て、明智光秀という立場も捨て、逃げた男が最終的に戻ってきたのが「兄」という自分だったので、パンフで読み返すとまた兄弟のやりとりを思い出して胸が詰まりました。

W座長を織田兄弟にし、対立させながらも最後は兄弟愛にもってくる起伏が素晴らしかったです。だってあんだけ逃げ回っていたくせに最終的に麒麟に今一番困っているヤツのところに連れてってくれ!と頼んでしまうんですよ…。

 本能寺で信長として天下統一を目指す信行を光秀(神永)からかばい信長は死ぬ、史実通りにできごとを集約させて、謎とされている死体がみつかっていないのをうまく取り入れて安土城で織田兄弟の最期を描くうまさに感動とエンタメの楽しさを同時に味わえて、しかもキャストがめちゃくちゃいい演技をするので、ハッピーエンドではないけれど見ていてシンプルに楽しかったです。蘭丸も本能寺の変の直前、理由は違うけど自害しているから結果は同じに収まってますし。

信行と光秀に同時に妬まれた時にずっとへらへらしていた信長が急に逆ギレするのは、感情の流れとして理解できなかったというかしっくりこなかったのですが、まぁ全編通して登場人物がなにしたいのかわからん、ということもあるのですべて納得できるものはないと思います。

 

また上映会が楽しみですし、ゲストにもよりますがスピンオフはどこを切り取ってもよいものになる予感がするので、早くDVDになってみんなに観てもらい楽しい楽しい言いまくって狂っていたのはこれか!と共感してもらいたいです。

 

 

 キャスト

気になった人、いいなって演技をした人たちを一部抜粋。

 

正親町天皇役   辻本祐樹

キャラクターでは一番好き!正親町天皇

虫ケラのこどく扱うか、そこにいない者としてシカトして!さすがに殺されるのは嫌なので賽子は勝手に振りません。

辻本さんの笑顔がどう見ても裏があるのに、あの甘い微笑みで「おいで」と言われたら付いて行きたくなる笑顔でした。人たらしの笑みがすっ…と消えた時の冷たい眼がヴィラン的な色気があって最高でしたね。個人的に「構わないよね?」と承諾を取ろうとしている言葉だけどそこに拒否権はない雰囲気を醸し出している演技が最高でした。

信長(平野)とは逆に天皇という立場から逃れられない運命にあり、最後に見せる自分以外の人間を見下しながらも現人神ではなく人間になりたいという心情がまた良かったです。俗な言い方すると萌えた。

 

 

明智光秀役 平野良

安西くんのお芝居とは違ったベクトルで演技が上手い。歌も上手い。映像で見たテニミュしか知らなかったので歌の上手さにビビりました。

平野さんの演技は演技に見えない自然体でありながら表現力が高くて、W座長が正反対のタイプだったので、わかりやすく対になる構図がよかったです。

歌唱力の高さと表現力を無駄にフル活用させた織田を飛び出したのは朝はごはん派なのに帰蝶がパンを出してくるのが辛かったというめちゃくちゃな理由を歌うのが最高でした。途中までミュージカルにありそうないい雰囲気のメロディで歌うし、オチがわかっても平野さんが真面目に歌うからずるい。

ラストの麒麟と流れ星の歌も、顔は苦しそうに歪んでいるのに歌声は弟に寝物語を聞かせるような優しい歌い方で歌も演技も上手くて感激しながら感動しました。表情も歌声もあまり苦しそうにさせない日もあり、それはそれできれいな終わり方でよかったけれど、わたしは歌い途中でちょっとかすれたりうめくよな伸びになってしまう演技が好きでした。

 

 

明智左馬之助役 神永圭佑

るひま初主演だっけ??と思うくらい安定していた。存在感と安定感がもう若手俳優ではなかったです。

 

 

木下秀吉役 木之本嶺浩

今年の嶺くんはかっこよかったです。初めてるひまを見た時、なんでこんなに気持ち悪い扱いされてるんだ??と疑問に思っていたのですが何年か行く内に麻痺してしまいました。でも嶺くんはかっこいいですよね。るひまはあてがきなので、今回はきちんと嶺くんのかっこよさを描いていることがなんか嬉しかったです。

光成、半兵衛の豊臣組の仲良しな雰囲気はかわいかったですね。織田がみんな家臣裏切っちゃうから余計に。

 

 

お市役 凰稀かなめ

なぜ宝塚のトップスターだった人たちはこんなにも品ある美しさと圧倒的存在感を持っているのか不思議です。トップになれるのはそういう人だけだからに尽きるのでしょう。本当にお綺麗で、長政、勝家、正親町天皇の前では別々の顔になるのもよかったです。年越し公演でダブルカテコ(トリプルだった?)でお正月のお餅を客席に配る際も、二階席まで投げてくれるも柵にぶつかり落ちてしまってしまい何度も何度も投げていて、いい人だなぁ…と思いました。

 

 

浅井長政役 大山真志

プレッシャーをたくさん抱えて挑んだと思いますが、すーごく優しい長政を演じていて、長政と一緒にいるお市は幸せそうで素敵でした。

本音をいうと70kg台になってほしいけど、今の体系でも愛せる。推しではないけど愛している。そう思いました。

 

 

 

 

 

二部感想

 

2019年で見た舞台の中で一番笑ったし、年明け2020年でこれ以上笑う舞台はもうないのでは!?と思うほど笑いました。

例年二部は頭がおかしいのですが、今まで見てきた中で一番おかしかったです。キャストは狂気の笑いを繰り広げ、客も狂気じみたテンションになってました。

 

オープニングアクト

・安土学園レギュラーVS朝廷学園正レギュラー

いつか手を出してくるだろうと思っていたテニミュパロがついにきました。

るひまの限りなくスレスレなパロが大好きなので、安西くんが座長の公演で見られた幸運に感謝です。しかも主役。

まず朝廷コールがひどい。一文字しか変わらないのでほとんど空耳で原作の学校名にしか聞こえない。そして1stから3rdまでのミュキャスにやらせるのがひどい。まだいくみとやかわは現役ですよ!しかもなぜか彼らが振っているのはラケットではなく八つ橋とエビフライ。聞き覚えがあるけど違うメロディラインに乗せて歌われる京都と名古屋の飯の話。途中いきなり現れて台湾ラーメンの魅力を歌ってはけるまさし。アグレッシブ鍵つきインスタグラマーとは一体。パフォーマンスが終わると全力ダッシュではけるのもなんか見覚えあって最後まで爆笑でした。

DVD届いたらテニスのオタクは一緒に観てください。

 

 

 

ミュージカル「ヘーアンセント」

・「天皇の闇が広がる」

日比谷界隈にも手を出しました。特に原田さんは日比谷にいることの方が多いのに自ら演出して出演もしていて、パロなのに本家。(?)

大楽の時に怨霊ダンサーズの龍さんが審査員の内藤さんに一礼して帰る謎の礼儀正しさを持っていました。なんだったんだ。

 

 

 

エス&ブッタwithふぉ~る~

・「ジーザス」


イエス&ブッダWithふぉ~る~ 「ジーザス」

 

サビの振付が完全にタキつばの「ヴィーナス」だったんですけど…。

もじゃもじゃアフロで仏陀の恰好をしているのにセクシーな表情で色っぽく歌うやかわさんはイケメンを笑いの武器に変えていてすごいなぁと思いました。

メンバーに加藤啓さんがいると高確率で歌の前にコントが繰り広げられるのですが、案の定コントやりました。

一部でお市に一途なめちゃくちゃかっこいい勝家だったのに(ビンタされる役引き継いでたけど)、二部のブッダでは延々と奇声上げながら体張った笑いを取りにいく役回りになっていたやかわさんの今後のるひまでの扱われ方が心配です。「マチュピチュマチュピチュ!!」「プレーリードッグプレーリードッグ!!」「一富士!二鷹!三茄子!!!」といろいろ叫んでましたが、わたしはマックのポテトが上がる音が一番好きです。「テレレ!テレレ!」

いくみんの神は目が笑っていなくて怖かったです。

啓さんのスバるがどんどん自由に走るようになって、舞台袖にはけちゃったり花道まで突っ走ったり小回り利きすぎて一周置いて行かれている人がいたりしてめちゃくちゃでした。

MVがない分のちのちライブの様子をあげてくれる可能性が高いかな~と思っているのでぜひブッダの恰好で叫び狂っているやかわさんを見てほしい。上記の文では何も伝わらないので。

 

 

 吉法師 ft. ニコニコ水墨画アーティスト

・「Demon」


吉法師demon

 

キャラが定まっていないのか、日替わりで吉法師のキャラが変わる。進行も把握できていないのか日に寄って変わっていました。

吉法師のビジュアルがかなり好みだったのですが、大楽で突然出オチのメイクしてきて腹よじれるほど笑いました。しかもこの状態で年越しカウントダウンをしてしまう。

 「俺の一人暮らしの住所を教えてやろうか!」

まさかの自ら個人情報を晒すスタイルでした。※晒してません。

熙子先生は感性が我々よりなところがあるので「黒ハットに黒マスクしている男は2.5次元俳優」などなかなかエッジの強い格言をくれました。

サビで一人ものすごいキレで踊り出す美慎氏がすごかったです。

 

 

鬼MAX

・「Tacata’


MAX / ニューシングル「Tacata'」MV

 

ヤコナ「MAXさんのCD音源を編集して流して踊ります」

三上「というわけでこれはDVDには入りません!」

突如、年末に明治座という大舞台にヤコナ(椿鬼奴)・ヘイナ(二瓶)・マナ(大山真志)の3名でデビューした新人ダンスグループ。る変大楽でメンバーが体力の限界を迎え、惜しまれつつも解散。上記の通り映像化は困難なため幻のパフォーマンスとなった。

このブログ書くにあたって今初めて元のMV見たんですが、3人とも割と完コピでした。あと10kgくらい落としてよ~とまさしには再三思ってしまうのですがあのワガママボディでちゃんとキレがあるので本当にダンスうまいんだな~と思います。

 

 

いろは坂48カーブ

・「天下人マジナリテー」


いろは坂48カーブ「天下人マジナリテー」

 

加藤啓さんがいるグループは歌の前にコントをします。(2回目)

Wセンターのけち(平野)とだち(安西)が学園の2王子となるまでを描く青春ときめき群像劇。

MVですでに様子のおかしい人がいますが、本番はもっとやばかったです。さらに言うならカウントダウン公演のいろは坂はどのグループも狂っていた中で極めて狂っていてコントが永遠に終わらないかと思いました。

全員栃木出身なので好きな食べ物は全員ぎょうざなんですが、ある回だけけちが「好きな食べ物は猿の脳みそ」、加藤啓さんが「猿のしっぽ」と言い出してダメでした。何度か観た時だったので「はいはい。ぎょうざですよね」と構えていたので余計にツボにはいってしまいました。

転校してきただちが慌てて、自律神経と頭のネジを忘れたり、転校する度人格変わったり、861回転校してたり、間違えて先輩の大山真志マイナンバーカードを持ってきちゃったりしていました。個人情報を持ち出するひまに染まってきている…。

きリン(加藤啓)がだちを学校案内するシーンは毎回突拍子がなくてヤバかったですが、「これが校舎!」と言って満面の笑みでセットの柱を撫でていたのが一番ヤバかったです。

だちと仲良くした罰として一発ギャグを強制させるところで、むーみん(松田岳)とねね(嶺くん)がどんどん動きがおかしくなっていて身体能力が高いだけにシュールでした。面白がって啓さんが延々とやらせるので、延々とジャンプするのでその度に笑って腹筋が割れるところでした。きリンがシュール一発ギャグを淡々としたあと日替わりで一人犠牲になるのですが、大楽の松田岳くんの一発ギャグ(意識高いおみくじ・意識高い絵馬)があなたるひま初出演ですよね!?と思うほど混沌としててヤバかったです。松田凌と松本岳と松田岳がごっちゃになりがちですがもう大丈夫です。背が高くてダンスが上手くてかっこいいが頭が少し変なところがある。あと読経ができる。よし覚えました。

日替わり一発ギャグ、おぎまち(辻本さん)の担当回でたっきーのスベり一発ギャグお仕置きペガサスが披露された時、辻本さんがすごい勢いで逆ギレしてくるので最初「ヤバい辻もっさんも壊れた」と思ったのですがお客さんにお仕置きペガサスでコーレスさせようとしている辺りでたっきーの逆ギレ芸している時の口調だとわかったので、スベったネタを持ってくるのがるひまらしい計らいだと思いました。

最終的に二人が握手をし、W王子の完成、となるのですが握手するまでの過程がどんどん長くなり、というかけちがどんどん変な動きをするのでそれに対抗しようとするだちがやり直しを求めたりしていてコントが伸びてました。

大楽ではたぶんバキ(?)のネタでけちが「へぇっ!!!」と言い続けていて元ネタがわからないのですがあまりのゴリ押しっぷりに涙でるほど笑いました。10分くらいコントやっていた気がするのですが笑い死ぬかと思いました。

 

 

安西慎太郎について

 

る変を初めて観た日、 一幕の歌終わりに高笑いする信行を見て自分が好きな安西くんの演技が詰め込まれた舞台だ、と確信して嬉しくて嬉しくて泣いてしまいました。二幕も見ていないのにこの後どんどん信行が精神的につらくなるのを予想して、それを表現するために安西くんが全力で演じてくれるのが想像できて、座長という立場で自分の好みにドンピシャなものが観られるありがたさに感動しました。

安西くんはるひまでは二度目の座長です。前回は3年前のる年で辻本さんとのW主演でした。その時、心奪われたのは真田十勇士の面々で安西くん演じる片倉重長にはあまり惹かれず感想と手紙を書くときなかなかうまい言葉が出てこなかった記憶があります。

真田十勇士は戦で死ぬけど重長は長生きするという好みの問題もありましたが。

今回のる変がめちゃくちゃ楽しかったのは、ストーリーがおもしろい上に自分好みの安西くんの演技が観られたからだと思います。

もっといろんな演技を見せてほしい気持ちはありますが、やはり今のわたしにとって観たらめちゃくちゃテンションが上がるのが、

・発狂

・白痴

・怒りのあまり泣きわめく

・動揺し暴力を振るう

・悲しみや寂しさを抱えているのに悟らせまいと強がる姿

辺りです。※演技です。

全身から溢れだす激しい感情をあそこまで体現できる役者は同年代では少ないと思っています。安西くんの悲しみや怒りの演技は遠く離れた客席で見ていても肌まで伝わってきて直接感情の波が襲い掛かってくるような迫力があり、この人のこのエネルギーはどこからくるんだろう、と毎回畏怖と尊敬を覚えます。それがめちゃくちゃ好きで舞台に通っているので信長として力で天下を統べようとする信行が見せる残忍な武将としての一挙一動に狂喜乱舞しました。その一方で、長政の前では柔らかい表情を見せたり、蘭と丸に声をかける時は優しい声色をしていたり、嫌われる運命と自虐的に笑ったりと孤独を抱えている片鱗を見せるのも上手いので一人のキャラクターが持っているバックボーンを芝居の中で伝えてきて、この二面性を同時に伝えてくる、この演技!まさにわたしがめちゃくちゃ好きな安西くんのお芝居!これをこんなにも長い時間、しかも見せ場盛りだくさんでストーリーもおもしろくてこんな幸せがあるんだ!!と感動していました。

 

今回上記にあげた

・動揺し暴力を振るう

・悲しみや寂しさを抱えているのに悟らせまいと強がる姿

辺りが信長として振る舞っている時の信行で観られました。

安西くんは殺陣が上手いので、戦場において戦っている時はかっこいいのに怒り狂っていてたり、一方的に相手に暴力をふるっている時の恐ろしさは迫力がすごいです。どこからこの殺気と狂気をもってきて解放しているのか。大きい劇場だと慣れてきましたが、前方席や小劇場ではいまだに怖いです。

安土城麒麟を捕らえたものの麒麟は「光秀」(兄・信長のこと)の名前を呼ぶばかりなので、木材で殴りつけますが、その時の信行の暴力を振るう側なのに憐れに見える姿が信行の孤独や栄光が崩れていくさまを表しているようでした。

 

 それから続く、秀吉に中国攻めを命じ、最後の一人として残っていた秀吉にも「今回で見限る」と言われ、風の音が響く誰もいない安土城で独り言のように呟くこの台詞。

 

 

この時の信行の言い方が自嘲にも聞こえ愚痴のようにも聞こえ、自然体に近い肩の力を抜いた演技だったのですが信行のやるせなさや寂しさが表されていました。涙がでるわけではありませんが、心に響く台詞でした。もの静かなシーンでしたが印象的で台詞と演技が相まって、る変の中で最も好きなシーンです。この短い台詞の中に作中の色んな心境が詰め込まれていて、さらに演技でも色んな感情を含んで言われているのでわずかなシーンでしたがインパクトがありました。脚本と役者の相乗効果がとんでもない場面でした。

 

もう5年ほど安西くんの舞台を観に行っていますが、いつも新鮮に演技の上手さに驚きます。いつ行っても演技が上手いというより舞台に出る度に演技力を更新して、進化しているのだろうな、ということを実感しました。

 

どの芝居も最高で、る変は観たいものが満足するまで観られた舞台でした。

 

 

 

 忘れないようにたくさん書きたいことがあったので、やたら長くなってしまいました。

これでもメモ程度のものは切ったつもりです。

まだどうなるかわかりませんが、るひま!好きだよ!今年も年末1回は観に行くよ!よろしくね!!!ありがとう!!!!!