DisGOONieS 『Führer』
銀座でレストランを始めたのは噂に聞いていて、西田さんの舞台でお馴染みの役者さんたちがトークショーをしたり、第一弾として「エイリアンシンドローム」が上演されていたことも聞いていました。
よくお世話になってるし、そのうち出演があるかもと思ってはいたもののいざ決定するとはしゃぎまくりました。
なぜなら今年はもう舞台に立つ安西くんを見るのをあきらめていたからです。(るひま出演もすげーはしゃいだ)
しかも告知は初日の一週間前。自前のレストランとは言え本を書いて人を揃え稽古をする時間がどこにあったんだとうスピード感でした。予約した側も気付いたら当日になり席に座っていたという感じ。
出演者の役名は明記されずあらすじも詩のような簡素なものでなにがなんやらで始まりましたが、そこは西田節。ようわからんがかっこいい!
いつもはそれでいいんですが、今回は題材が題材だけに「ようわからんがかっこいい」と思ってしまうことに少し畏怖がありました。ナチスのデザインは人を魅了するかっこよさを重点においていたことは知っていますが、負の遺産で残虐な歴史で…罪のない人がたくさん死んでるんだけど、でも…形はかっこいい…、さすがにスクリーンに映された鉤十字はどきりとしたけど。
ストーリーはドイツ・ナチス党の誕生から敗戦まで。戦争賛美ではないのに、青春群像劇に見えてびっくりでした。
以下の感想はあくまで演目「Führer」に対するものであって実在の人物・歴史に対する感想ではありません。
※びびりだから全体公開で書くのも怖い。しばらくしたらこっそり下げるかも。
キャストはそれぞれ党の幹部を演じているのですが主役であるヒトラーは時代によって演じる人物が変わります。それに伴ってちょこちょこ演じる役がみなさん変わります。初見だとストーリーを追うのに必死になってしまう演出ですが、同じ人物でも場所や立場によって印象が変わるのが目に見えるような演出なのかな、と受け取りました。
でもヒトラーを演じる時だけは全員神経質に硬い動きで足元を指を差しながらしゃべるのですぐわかるんですよね。名乗らなくても。演技方法は各人違うはずなのに同一人物に魅せる技量が全員化け物じみてると感心しました。
安西くんはヒトラーの友人であるクビツェフ、盟友でありながらも粛清されたレーム、党発足初期のヒトラーを演じるのですが転換のわずかな瞬間でスイッチを変えてくるので、レストラン内という狭い空間も相まって肌で雰囲気の違いを感じとることができました。記憶力が悪いので演じてた役がもっとあったらすみません。
最も印象的で好きなシーンはやっぱり「長い夜」前夜のヒトラーとレームのやりとりです。この時ヒトラーを演じたのは鈴木勝吾さん。また一人と仲間が去っていく中、孤独に怯える姿がよかったです。
--------------- ここから妄言 ---------------
ミュンヘン一揆の時のお前ならついて行く。あの時なら代わりに撃たれてもよかった。と言われ道を違えた瞬間に激昂して、お前を殺す!(要約)と叫んだヒトラーの瞳にあの時と同じ「高揚」を見たのか、レームはその瞬間だけヒトラーの意見に従うのがレームがヒトラーという人物をいかに限定的に神聖化していたのか感じ取れました。
ヒトラーとしては自分はあの時から変わっていないつもりで、社会を良くしよう、強い国、強い国民を作り上げようと党の仲間たちと走り続けてきたのに、あるものは欲にかられヒトラーを裏切り、あるものは派閥により消され、そしてレームは過去の自分にしか興味はないと言う。同じ自分なのに今の自分を拒否されるのはしんどいですね…。
男同士の感情のぶつかり合いがもう…あの…あれです。察して…。
--------------- 妄言終わり ---------------
最期に萩野さん演じるヒトラーは疲労と哀愁がいい感じに色気となってにじみでる演技で魅せてくれたので、いつの間にか周囲の熱狂により祭り上げられた一人の孤独な独裁者の悲劇としての印象が映えました。
歴史上では最悪な独裁者なんですが、感情のぶつかり合いと歴史に奔走されあがく男たちの美しい関係性を描くのが本当に上手いなぁ~~~と思います。いやでもホロスコートは最悪最低だよ!と何度も思い返さないと、ナチスを美化してしまうので怖い。
でも物語としては美しかったです。ナチの歴史は最悪だけど。何回繰り返すんだ。
出演者の中に番ボの糸川くんがいて、全ての西田作品を見ているわけではありませんがディスグーニーズでは初めて見るので不思議な感じでした。卒業してしまいましたが二葉兄弟が所属していたので、番ボのコメディ色強い舞台で何度も見ていたのでこの船(ディスグークーズのこと)で上手くやっていけるのか若干緊張しながら見に行ったのですが、Wキャストの窪寺さんとはまた違ったディートリヒ・エフィカルトとして独特の存在感を残していったように感じました。
窪寺さんのエフィカルトは優しさが印象深かくて、糸川くんのエフィカルトはキラキラしててまっすぐな瞳が印象的でした。ミュンヘン一揆の時のヒトラーはエフィカルトの役者さんが演じるですが、エネルギーに満ちている姿を表現するには糸川くんの力強い目がよく合っていました。普段同年代の多い舞台や2.5で活躍していることが多いけれど年上が多い場でも見劣りしない存在感でやっぱ人を惹きつけるものを持ってるんだなぁと外部の舞台で見て改めて思いました。
番ボのメンバーは従兄弟みたいな気持ちがあるのでつい気にしてしまう…。
久々の観劇なのに、濃厚な脚本で全席通路席みたいな環境で推しの演技の熱をガンガンに浴びせられて、楽しかったです。刺激はいいね。
もう感想のブログとか書き方忘れてしまったので、へろへろの文章で失礼しました。
最後に、つい先日ですが来年のディスグーニーズ作品に出演が決まったので宣伝しておきます。
なにとは言いませんがメンツ…!!
舞台「GHOST WRITER」開催決定!
— ディスグーニー (@disgoonie) November 6, 2020
出演:
猪野広樹 生駒里奈 山本涼介 定本楓馬 青木玄徳
楠田亜衣奈 伊波杏樹 安西慎太郎 橋本祥平
田中良子 萩野崇 谷口賢志
窪寺昭 長友光弘(響) 村田洋二郎 伊崎龍次郎
的場浩司 他https://t.co/McCwQ6BNzj#ディスグーニー pic.twitter.com/4Zk3dz6D0I