ちわきにくおどる

そんな気持ちにさせてくれ

2022年1月まとめ

 新年早々楽しすぎて、もう今年はこれで終わりなんじゃないかと思うくらい両方とも楽しい現場でした。

 2022年悔いなし。

 

 

○演劇の毛利さんvol.1「天使は桜に舞い降りて」

 

 2時間休憩なしで起承転結の流れ、歌あり、日替わり要素あり、明るいエンディングで娯楽作品として見やすかったです。

 このくらいの作品がふらっと行って観られたら最高の観劇かもしれません。

 

 人間を生かしておくか滅亡させるかの判断を神様に任せられた二人の天使が咲かなくなった桜の木に舞い降りる。桜の木の精と出会い、桜の精は桜にまつわる物語を披露し、人間の価値を天使に判断してもらう……という物語。

 まず話の登場人物の紹介曲から始まるのですが4つの話の個性がOPで表現されていて、キャストパレードのようなお祭り感があってわくわくする始まりでした。一緒に手拍子できる舞台は楽しいね。

 

 4つのエピソードの感想とともに各役者さんの簡単な感想です。

 

坂口安吾桜の森の満開の下

 劇団人間最高、サイコー! 本筋の話でなくて恐縮なのですが、話が終わった後の三津谷さんのカテコ挨拶で泣いてしまう役者の小芝居がおもしろすぎて一番印象に残ってしまいました。観劇する人には必笑ネタ。

 山賊を演じた三津谷さんはテニミュや帝一では美少年の役だったので蛮族のような役を演じているのは初めて見たので新鮮でした。賑やかし要因も上手くこなしていて、知らない面が見えました。担当ストーリー以外でも山賊の個性が強くてつい見てしまう存在感でした。義経千本桜黒子時の「ストッパーOKです」も好き。途中で気付いたんですがOPの暴れ具合すごかったです。元気いっぱいすぎてびっくりした。

 ザベスさんの妖艶な女が好みで、あと骨格が好みでいいなぁと思いながら見てました。高飛車高慢ちき女良い。体もよく動くので艶美さを出す仕草が上手くて好きでした。あと衣装が好みでした。形は洋装なんだけど着物に見えるデザインで衣装さんが天才でした。というか「天使は桜に〜」の衣装、かっちりした和装からモダンまでどのデザインも素敵で天才でした。

 白痴の女を演じたザンさんも、マスコット的な可愛さがなごませる場面があり、またザンさんが舌足らずな言い方で「桜の森の満開の下」の最後の台詞を言うことで不気味と後味の悪さで締まりました。かわいい話し方で辛辣なツッコミを入れるのも良い。

 

小泉八雲「十六桜」

 ベテランの山本さんが一人芝居で他登場人物と客席を引き込んでいくのはさすがでした。終わる頃には汗だくになっているのが、役者が体力と気力を削って演じるのを目の当たりで直に味わっているようでたまりませんでした。鞘を収める所作がきれい。

 

梶井基次郎「櫻の樹の下には」

 テニミュキャストで偶然見に行く舞台の出演者だと嬉しくなる役者の一人が伊崎くんです。顔も好きだしお芝居も上手いので好き。今回のメイクがリップだけ真っ赤で素敵でした。大藪くんもお芝居上手いので割とわたしは好きです。この二人がこのねちっこい作品で二人芝居するのをキャスト発表時に知り、喜び跳ねました。

 詩的な短編なので戯曲にする毛利さんの手腕も見事で一番お気に入りです。あと表面上は仲の良かった二人の男が感情剥き出しでぶつかり合うのが最高に趣味に合う。というか二人とも上手い。ベラベラと詭弁を垂れる伊崎くんの「俺」の難しい台詞をテンポ良く言う技量と後ろで神妙な顔をする表情の「お前」役の大藪くんの演技、最初の長台詞と変わって「冷や汗をかいているね」の一言で指す俺(伊崎くん)、ナイフで揉み合う二人!ブチギレる俺!やや涙声で絞り出すような声で訴えるお前…、許されないならと自害する俺…、罪の意識と後悔に襲われて逃げるお前!人間最高!

 男同士の痴情のもつれを演技力のある若い二人が熱く演じてくれるので、わかりやすい感情演技しか理解できない人間にはとても楽しめました。台詞の言い方もよかったけど二人とも絶妙な良い間を取るので、空気を作るのが上手かったです。

 

・歌舞伎「義経千本桜」

 2時間の舞台のなかに入れ込むのすごい。見せ場を上手く繋いで原作のオマージュも入れて巧みでした。

 今回一番若手の義経役の相澤くんの「頼朝兄さん!」がだんだん馴染んでいくのを見て初々しさを感じました。上から目線ですみません。

 井俣さんの平知盛の場面は上記で書いてしまった通りです。黒子の三津谷さんがツボ。

 登場人物役の川本さんには申し訳ないけど大薮くんのひひん日替わりが意外とバリエーション多くてこっちばかり記憶に残ってる。馬の顔マネも上手いタカ。

 月元くんの狐はめっかわで全員で踊っているOPもEDも視線が向いてしまうし、バレエ要素のある狐の踊りも素敵でした。他の出番も端でぱたぱたころんしてたりでかわゆい。

 

 ネタバレ配慮ではなく間延びするので以下ストーリーは割愛させていただきますが、最終的に人間は愚かだけれどまだ希望はある、と結論を出し、枯れていた桜が咲き誇るなか全員でテーマ曲を歌い上げ華々しく幕が降り、劇場を出るときに気分が晴れやかになるような、自然と顔が前を向くような、気持ちになれる終わり方でした。

 この舞台から、人間は愚かだけど絶望するほどの存在ではない。間違えたらまたやり直していけばいい。というメッセージを受け取ったのですが人間の愚かさを内包したまま愛していこうという姿勢が自分の思想と近いので、すっきり飲み込めました。

 安西くん演じる桜の精が実は神様で、人間は神様が自分に模して作った、神の自分が愚かだから人間も愚かになってしまった、というこの舞台における真実は個人的に気に入っていて、創作物において神は絶対的存在と描かれがちですが実際正しい存在なら世界は平和だしうまいこと回るはずなので、世の中に対する憎しみが少しだけ薄まりました。神様がポンコツならそりゃ世の中こんなんですわ。

 最初と最後を華々しく、美しく、けれど起承転結の転周辺で人間のマイナス面を描いて清濁併せ飲ませ、賛歌にしないところが好きでした。

 

 今回安西くんの配役とビジュアルを見た時に、人ならざるものが見られるのかと想像したら本人が「明るい」「楽しい」青年のような役で楽しく稽古してる、と話していて混乱し、劇場で登場時に音もなく現れた瞬間その美しさに息を飲みました。舞台に出た瞬間「美しい」と率直に思ったのは初めてかもしれません。肌白い!はよくある。

 話していた通り、明るく茶目っ気ある性格で話は進んでいったけれど、最終的に実は神様だったとわかる場面で自分の愚かさに対する憎しみで暴走してしまった瞬間は「キタ!!!」とガッツポーズでした。常に見せろとは思いませんが、この感情の爆発の強さが好きで舞台を観に行っているところがあるので大満足でした。

 

 ストーリーも好みで、好きな演技も見られて、明るい気持ちで劇場を出られる、趣味として通うに最高の舞台でした。

 

 

 

 

○「歌劇 桜蘭高校ホスト部

 

  楽しさで休憩含む2時間20分殴られ続ける舞台。

 原作の環のテンションをそのまま舞台に持ってきたような、ハイテンションハイテンポで歌にダンスに場転場転暗転場転暗転。

 一幕がとにかく色んなエピソードが詰め込まれていてアクセル全開で駆け抜ける目まぐるしさ。けれどそのハイテンポがアニメを見ていた時の高揚感を思い出させてくれました。二幕はハルヒ宅鍋回と学院祭のふたつのみなので一幕の情報量になれた身体にはテンポ遅く感じてしまうのが惜しかったです。

 

 ホスト部登場と同時に最初のメインテーマから、全力で緩急ない要くんのダンスが健在でした。いつ見てもずっと力入っていてすごい。こんな力ずくで踊っているのに身体振られないの逆に体幹強すぎる。本当にいつも全力で踊っていてえらい。

 歌も双子の歌の上手さは十分知っているのに、やっぱり上手い。双子のハモリとかフェイクで曲に安定感が生まれ華やいでいる。素晴らしい。上手い。応援しててよかった。

 

 一幕は怒涛のテンションでハルヒの入部、れんげちゃん登場、同時進行でハルヒへのいじめ解決、双子のケンカ、海の課外活動と詰め込みでどの場面もおもしろいけれど、特に印象強かったのはれんげちゃん曲とPV撮影、課外活動の鏡夜先輩の上半身でした。

 令和にアップデートされたれんげちゃんが暴走して「推ししか勝たん!!!」とオタク言語満載で歌うの客席9割オタクだからみんな気分上がってしまう。なによりれんげちゃん役斉藤さんの暴走っぷりがすがすがしくて、さらに歌もダンスも上手い。顔もかわいい。れんげちゃんしか勝たん!!!!!

 その後のPV撮影もバカっぽさフルスロットルで最高でした。

 双子のボーイズラブバスケ部は二人の演技がどんどん大袈裟になっていき、二人が真剣になればなるほどおもろかったです。

 れんげちゃんに初めて声をかけるシーンでもBL営業していましたが、初日から徐々に顔が近くなり顎クイを始めた時は二人の成長に心の中で拍手しました。嘘です。動揺しました。

 双子のバスケは徐々におもろさが上がっていきましたが、続く環先輩の「雨に打たれる学園の孤高な王子」はもう出のインパクトだけで初日から笑いをかっさらっていきました。雨といいながらほっっっそいシャワーで見立てて、足元に小さいビニールプールというしょぼい絵面なのに自信満々に酔いしれる絵面が環そのもので必笑でした。あのしょぼさがいい。アンサンブルさん全力床拭きお疲れ様でした。

 鬼畜ショタからの泣いちゃうハニー先輩が子供みたいに泣くのではなく癇癪っぽく泣くのも小西くん独自のハニー先輩に落としているようで好印象でした。

 

 双子のケンカは本領発揮のロック系ナンバーで初見人に歌上手いでしょ…すごいよね、と内心ドヤりながら、アー活やってるからライブ来てね…と切実たる願いを会場に飛ばしていました。

 楽しそうに歌う姿も好きだけど、怒りとか負の感情を表現する要くんの歌唱が好きなのでもっと聴きたいです。感情とパワーがガン!!と乗って耳に直撃するのがたまりません。

 

 夏の課外活動では双子の上着チャック位置がオタクの間で毎公演話題に。あとビーチボール客席投げ事件。サビの要くんの高音が好きだった~。怒りのカニ食べハルヒに怖がる台詞がなぜか日替わりでした。

 このエピソードはなんと言っても鏡夜先輩がハルヒを押し倒すシーンが強烈でした。アニメで見た時のうら若き乙女時代の興奮がよみがえり、気付くと寝る前に夢小説を検索していました。それもこれも里中くんの体形が、あまりにもっ、完璧!バキバキに割れた腹筋と適度に盛られた胸筋!けれど腕は細く!ウエストがきれいにくびれたうっすいおなか!少女漫画の男の体だったからです。そしてシルバーのカル○ンクラ○ン。体もいいんですが、ベッドに倒して壁ドンからの腰下に手を入れて寝かせ覆いかぶさるまでの動きが流れるようで美しかったです。覆いかぶさった時のシルエットも素晴らしい。バランスよく鍛えられていて本当に素晴らしい。ありがとうございました。

 

 二幕冒頭では良知さん演じるハルヒ蘭花さんが日替わりで拍手を求めるのですが、全力で拍手してピタっと止める遊びをしてました。

 アメフト部部長の久瀬役の柏木さんがオレンジの香りを嗅ぎまくるキャラになっていて、アブラゼミの鳴き声のごとく高速で「yesyesyesyesyes…」言っているのがおもしろかったです。

 学院祭でヴェネツィアな衣装に着替えて、立て板で作られた舟の後ろをキャスター付きの椅子に座りとことこ進む手作り感ある手法でゴンドラに乗る演出をしているのですが、要くんが少し出遅れてしまった時があり、隣にいた鏡夜先輩役の里中くんがスッとさりげなく背中に手を回し押して手助けしてくれて、その動作があまりにもスマートで惚れました。要くんがうらやましいっ……。

 

 学院祭のフィナーレとしてハルヒホスト部メンバーパートが追加されたメインテーマで賑やかに締めるのですが、感染症対策さえなければコールしたかったです。手拍子だけでも楽しめましたが、双子に\双子ー!/て言ってみたかったですね。あとこれはどう聴いても客降り曲。

 曲も華やかで好きですが、環先輩役の小松くんの言う「こうして見つめ返すのを許してくれてありがとう」という台詞を聞く度に劇場に来てよかったと胸が熱くなりました。好きで劇場に来てはいるけれどやっぱり足を運んでいることに対してのお礼を言ってもらえるとより一層嬉しいですね。

 ガチで目はあっていなくても舞台から席は遠くとも目の前にいるのは事実で、劇場という同じ空間で同じ時間を共有できるのは観劇している者だけの特別な体験なので、こちらの気持ちを汲んでくれたような台詞がとても嬉しかったです。

 

 

 

 

 

 中旬で公演期間が重なったので、この二つの舞台を行き来して慌ただしかったですが、満ち足りた月となりました。

 ほんと毎日楽しかった!もうこんな楽しい月はないかもしれないと新年早々不安ですが、今年は楽しい現場ばかりという吉兆だといいですね。